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Copyrights



耳のうしろでリボンを結び、おいしそうにぺロリと舌を出した、おなじみのぺコちゃん。
いや、ちょっと待ってもらいたい。
下のミルキーの箱に描かれたペコちゃんは、どこか変な感じがする。
少し稚拙な印象でもある。
よくよく見ると、メーカー名は「不家」ではなく、「不家」となっているではないか。
そうして、その横には小さく「エコー」と綴られている。
「ミルキー」の下には、はっきり「ネリケシ」とも。
そう、そのとおり、この箱は、ぺコちゃんを真似した消しゴムだったのである。






下が、本当に不二家のショップで私が買った、ぺコちゃんの消しゴム・セットだ。
4色のリボン型の消しゴムにも、赤い缶ケースにも、ぺコちゃんマークが刻まれている。
ぱっちりとした目に、ぷるんと丸く愛くるしい顔、水玉模様のリボン ―― これが本物のぺコちゃんなのだ。

子供たちに人気の食べ物やキャラクターが、海賊版の消しゴムとなって登場するケースは、ちっとも珍しくはない。
面白いのは、コピーする側に、本家に対する気遣いというようなものがあって(というか、そっくりそのまま模すと犯罪にもなるので、うまく逃げ道を作らねばならない事情があるのだが)、その工夫の仕方がなかなかユニークで、笑ってしまうことである。

メーカー名の「二」を「三」に変え、
「あらあ、私、ぺコちゃんじゃなくて、エコーちゃんなのよ。
前髪の分け目だって、ぺコちゃんはひとつだけど、ほら、私は3つもあるでしょ。
えっ、私がぺコちゃんの偽者ですって。
とんでもない。
よおく見て。
ぺコちゃんの方が、うんと可愛いじゃない。
勝負にならないわ」
と、涼しい顔で言ってのける。
名前にも、自分は本物ではなく、こだま(エコー)でしかないという意味を含ませてあるのかもしれない。
居直った物真似である。

これでは本家本元も、苦笑いして、有名税だと諦めるしかない。