四谷においしいたいやきやさんがあって、冬になると私は、待ってましたとばかり、買いに走る。
魚の形をした鉄板の型で、半身ずつを焼き、あんこをはさんで、両面を合わせ、型をくるくるひっくり返しながら、ほどよきところまで焼いて仕上げる。
甘く香ばしい匂いがあたりをつつんで、それだけでもう、ほかほかと暖かい気分になる。
たいやきは、できあがっていく過程をみているだけでも、楽しいものである。
驚くことに、この消しゴムのたいやきも、同じ方法で作られている。
半身ずつの魚の型に、プラスティック消しゴムを流しこみ、間にあんこをはさんで、ぴったりと合わせて、できあがりというわけだ。
これに気付いたときには、私も、感嘆の息をもらしてしまった。
同じ製法で作ってあるから、あの本物のたいやきのつなぎめの微妙な盛り上がりも、そのまま出ている。
あんこには丁寧に、あずきの模様まで浮かび上がっているのだ。
消しゴムながら、あっぱれと、ただもう唸るばかりである。
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