** Eriko Kusuta's World ** 楠田枝里子公式ホームページ **
■マリア・ライヘ基金について
■最後に
■レポート
Mar.2014
ナスカ・パルパを
巡る国際講演会
■レポート
July2010
パルパ博物館から
■論文
「古代パラカス人
の移動に関する
新たな考察」
New Speculation Regarding the Migration of the People of Ancient Paracas
■レポート
Oct.2006
新発見、ナスカの
地上絵
■論文
「ナスカ・パルパ
の地上絵、ひとつ
の解釈」
One Interpretation
of the Nasca and
Palpa Geoglyphs
■レポート
Jan.2006
パルパ博物館の子供たち
■レポート
May 2005
マリア・ライヘ博物館
■レポート
Oct.2004
パルパ博物館
■レポート
Sep.2004
■レポート
Apr.2004
パルパの遺跡
■レポート
Jan.2004
■メッセージ
ナスカへ
■メッセージ
夢のような日々
■メッセージ
ペルーの子供たち
パルパ博物館の少年たち
パルパ博物館での、ある日の午後のことです。
パルパ博物館の展示室
私は展示室に、小さなインディオの兄弟の姿を見つけました。
兄は小学校の高学年くらい。
弟は学校に上がっているかいないかといったところでしょうか。
埃に汚れたふたりの格好は、豊かな暮らしをしているわけではないことを語っていましたが、その眼差しは、何にも負けず、きらきらと輝いていました。
兄は、夢中になって、弟に展示物の説明をしています。
弟は、ガラスに顔をくっつけるようにして、その遺物を瞬きもせず見つめ、兄の説明に聞き入っていました。
心の打ち震える、美しい光景でした。
この兄弟が、成長して、学者となり、祖先の残した遺産の後継者となるかもしれません。
こんなふうにして、長い時間のなかで、人間の思いがバトンタッチされていく、ということに、私は言いようのない感動を覚えていました。
人生は短く、ひとりの人間ができることには限りがあるけれど、熱い思いを次の世代に託すことができるのです。
古代の人々が託したメッセージが、マリア・ライヘを経て、さらに後の研究者に、新しい世代へと、引き継がれていく・・・。
マリア・ライヘの時代には解けなかったナスカの謎に、彼女からバトンを受け取った、若い世代が迫ってくれるかもしれません。
そのなかにあって、私は単なる小さな触媒にしかすぎないけれど、それでも、その場に立ち会えたことの幸運に、どう感謝の言葉を見つければよいでしょう。
少年たちの邪魔をしないように、私はそっと展示室を去り、ホールへと出ました。
ホールでは、大勢の研究者たちが集まり、新しく発見された遺跡の発掘と分析についての、国際シンポジウムが続いていました。
シンポジウム
2006年1月