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今年の、私のクリスマス・ケーキ


クリスマス・ケーキは、12月24日か25日に食べるもの、なんて誰が決めたの?
私は12月に入ると、嬉しくってたまらなくて、もう毎日、選りすぐったクリスマス・ケーキをいただいています。
皆さんにも、今年の私の大のお薦めクリスマス・ケーキをご案内しましょう!

まずは、ピエール・エルメのシュトレン。
シュトレンはドイツのクリスマス・ケーキで、ぎゅっと旨味の詰まったフルーツケーキです。
エルメさんはフランス人ですが、ドイツとの国境近くのアルザスで生まれ育ったので、子供の頃からシュトレンにも馴れ親しんでいたのですね。




私は1980年代からずっと、年末にシュトレンを楽しんできました。
1825年創業というドイツ、ドレスデンの老舗クロイツカムの伝統的なシュトレンを始め、数多くのメゾンのシュトレンを味わいましたが、30年を通して私が最も愛したのは、ドイツ文学者の高橋健二先生からご紹介いただいた、日本におけるドイツ・スイス菓子の第一人者、ポール・ゴッツェさんの伝説のシュトレンでした。
ドライフルーツが上品かつバランスよく配され、深い味わいの生地にはほどよく弾力があり、雪のように降り注いだシュガーパウダーが、限りなく優しく温かく、口に広がります。
この季節になると、ゴッツェさんは厨房に籠り、祈りながらシュトレンを焼いていらっしゃいました。
彼の作品は、別格。
単なる美味しいお菓子ではなく、思いのこもった祈りの結晶だったのですね。
ゴッツェさんが亡くなられたとき、私はショックで目の前が真っ暗になりました。
以来、どこのシュトレンにも満足できず、何年も寂しい気持ちで12月を過ごしていたのです。
そして!
ついに巡り会ったのが、ピエール・エルメのシュトレンでした。
華やかに踊るドライフルーツの数々が、それぞれに、絶妙なコンビネーションで舌を唸らせます。
心地よく語りかける生地の旨味、エルメさんならではの巧みなシナモン使い、どこをとっても洗練された、傑作のシュトレン!!
現在日本で手に入るシュトレンの中で、私はこれが一番だと思います。


シュトレンは、おくるみに包まれたキリストの形をしていて、
1センチくらいに薄く切って、いただきます。


私は去年、12月初日から食べ始め、1週間後に足りなくなって、追加で買いに走り、年末まで連日楽しんでいたのですよ。
エルメさんのシュトレンは、どれだけ食べ続けても、飽きることがありません。
今年も、私ひとりで、3箱くらい食べちゃうかなあ(笑)。

続いては、ラ・メゾン・デュ・ショコラの「サルバドール」。
これも、私のクリスマスには絶対欠かせないケーキで、もう10年以上も食べ続けていますね。

今年のデコレーションは、色も形も鮮やかに細工された雪の結晶。
華麗なリズムを刻み、クリスマス・ムードを盛り上げます。


ラ・メゾン・デュ・ショコラの創始者ロベール・ランクスが生み出したボンボンショコラ「サルバドール」はあまりにも有名ですが、そのオマージュとも言うべき作品が、クリスマスのチョコレートケーキ「サルバドール」なのです。
(前回の「メッセージ」のページもご参照ください。)

この切り口のショットは、
シェフ・ショコラティエのニコラさんが、パリから送ってくれたもの。
みごとな造形ですね。


初めてサルバドールを口にしたときの感動を、私は今もはっきりと覚えています。
「こんな美味しいケーキを知らなかったとは、もったいない人生だった!」
そう感じるほど、衝撃的な出会いでした。
上質のカカオとフランボワーズが美しい歌をうたっているような、これ以上ない芳醇で贅沢な味わいが、夢のように口いっぱいに広がります。
また今年もこの甘いひとときを楽しめるとは、なんと幸せなことでしょう!!

もうひとつ、ジャン゠ポール・エヴァンのクリスマス・ケーキも、大注目です。
私は今年、ビュッシュ・リケンを選びました。
エヴァンさんは今シーズン、自然をテーマにしていて、リケンとは苔のこと。
う〜む、渋くて深いイマジネーションですね!




つややかに輝くチョコレートの木の幹に、彩りを添える苔の黄緑は、実は抹茶を使ったものです。
正直に言いましょう。
抹茶は今や世界的に有名になって、数多くのパティシエ、ショコラティエが素材として使っていますが、しかし、本当に抹茶の美味しさを上手く引き出している例は、極めて少ない。
エヴァンさんは、最も巧みに抹茶を使った表現を成功させた天才でしょう。
彼がかつて発表した抹茶のアマンドショコラにも感嘆しましたが、このビュッシュ・リケンの、抹茶の旨味を軽やかに凝縮したサクサクとした食感には、ただもう唸るばかりです。
聞けば、とても複雑な工程で、時間をかけて作り上げられる、抹茶のビスキュイ。
皆さんにもぜひ、ご自身の舌でそのクリエーションの秘密を発見していただきたいですね。
勿論、ポイントは苔だけじゃあありません。
カットすると、その切り口はまるでアート。


実は、この写真は、エヴァンさんご自身が撮ってくださったもの。
私が一緒に撮影していたショットより、ずっと美しい!
やはり、生みの親がわが子を見つめる眼差しには、かないませんよね〜。

香り高いヴェネズエラ産カカオのムースに、栗とアーモンドのビスキュイ、コーヒー風味のムース、シナモン香るサブレとチョコとヘーゼルナッツのクルスティヤン、マジパンとチョコレートのビスキュイ・・・。
ひゃ〜、こんな華やかな味わいのケーキ、他にある?!
とろける口どけ、口当たり。
飛び跳ねる色彩が目の前に広がるような、複雑な味覚の喜び。
幾種類もの食感が波のように押し寄せて、驚きの瞬間の連続なのです。
思わず顔がほころぶ、絶品のチョコレートケーキです。

さあ、私が今年厳選した、3つのクリスマス・ケーキ、如何でしたか?
どうぞ皆さんも、美味しい12月をお過ごしくださいね。
メリー・クリスマス!!!


2019年12月1日  

楠田 枝里子