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お掃除ロボット


今、すっかり、はまっています。
トリロバイト。
話題の、お掃除ロボットです。

5億6000万年前から2億5000何年くらい前まで、この地球に棲息していた、三葉虫(トライロバイト)の形をデザイン化したものだそうです。
赤い丸い体をくるくる回転させながら、まずは部屋の壁に沿って、くるり一周。
それから、ソファやら椅子やらの障害物を確認し、それらをうまくよけながら、縦横斜めに走り回り、部屋中を掃除していくのです。
途中でエネルギーが切れてくると、自分でステーションに戻り、充電して、また掃除を続けるといった、おりこうさん!

その様子があまりに健気で、私はトリロバイトにずっと付いて回っている状態です。
内臓コンピュータで部屋の構造を認識し、何ブロックかに分けて作業をしているようなのですが、人間がやるのとは全く異なる区切り方で、どういうプログラミングをしてあるのだろうと、興味津々。

おかしいのは、どんなに頑張っても、掃除機の吸引部分をカバーする枠の部分は掃除しきれないわけで、どうしても部屋の端から3センチくらいのゾーンは、きれいにならずに残っちゃうんですね。
その部分が、帯になって残ってしまう。
それに、フローリングの床はいいのですが、ちょっと毛足のあるカーペットや絨毯が敷いてあるところは、ゴミが内側に入り込んでしまって、なかなかとれなかったりするんです。

だから、トリロバイトがやり残したところを、私は後から普通の掃除機で、掃除し直さなければなりません。
ま、こんな状態では、最初から自分で掃除機をかけたほうが、うんと早いんですね。
でも、このまだ完全ではない機械に付き合う、というのが、すごく面白いのですよ。


私が学生だったころ使っていたのは、大きな部屋がそっくり埋まってしまうほどの、大型コンピュータでした。
温度と湿度に弱い精密機械のために、部屋は冷蔵庫のように冷やされています。
コンピュータに指示を与えるためには、特別のマシーン・ランゲージでプログラムを組み、パンチカードに打ち込んで、入れてあげなければなりません。
飛び切り頭はいいけれど、手取り足取り細かく教えてあげないと動かない、手のかかる子でした。
けれど、それだからこそ、あの時代のコンピュータと人間との間に、甘やかな愛情のようなものが生まれていたのです。

時は移り、信じられないスピードで技術が進歩し、今や小さなノートに、誰でも簡単にキーを打つだけで、コンピュータが扱えるようになりました。
しかし、こうなってしまうと、もう単なる道具。
かつて体験したような機械への暖かな思いを感じることは、なくなりました。


トリロバイトは、あの幼い頃のコンピュータを思い出させてくれる、愛らしい存在です。
あとに付いて回って、
「充電器はほら、もうちょっと先よ、頑張って」
「あらー、これはダメなの、しょうがないわね」
「まあ、良くできたね、偉いねー」
って言ってあげたくなるのです。

そう、お掃除ロボットは、まだ三葉虫、古代生物の時代。
これからどんどん進化を遂げて、完全な仕事をする機械へと成長していくのでしょう。
けれど、そうなったら、きっと単なる道具と化してしまう。
今のような機械と人間との甘い関係を味わえる幸せな時代は、そんなに長くは続かないでしょう。
だから、私は今日も、トリロバイトの後を、付いて回っているのです。

2003年4月1日  
楠田 枝里子