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ピナ・バウシュの新作に酔う


お待たせしましたっ!
いやあ、5月の旅があまりに面白くて、たくさん写真を撮りすぎ、編集整理するのに、すっかり時間がかかってしまいました。
さあて、何から話しましょうか?
そうですよね、やっぱりピナの新作からじゃなきゃ、始まりませんよね。

ヴッパータールのシャウシュピールハウス(劇場)に身を置くと、私今では故郷に帰ったような気分になります。
ピナやダンサーたちが知り合いなだけでなく、売店のお兄さんお姉さんも、ガルデローベのおばさんも、もう顔なじみだしね、見知らぬ観客も、ピナの作品に期待するドキドキ感は共通なので、お互い通じ合う気持ちがあって、実に快いのです。
さあ、そんな会場で見た今年の新作は、インドをテーマにしたものでした。
舞台はとてもシンプル。
奥に長いオフホワイトの布がカーテンのように何本も天井からぶらさがり、それがたえず風に揺れています。
インドのモンスーンを表現しているようです。
他にも、古典舞踊のお面やら、宅配レストランの電話交換手やら、随所に新旧のインドをモチーフとするシーンが登場。
幕間のロビーには、聖なる牛を象徴する女性ダンサーたちが、口をもごもごと動かしながら練り歩き、床に横たわってポーズを取って、観客を驚かせていました。


休憩時間のロビーでのデモンストレーション


パフォーマンスは、全体にとてもダンサブルな作りで、ダンサーたちの優美な動きに酔いしれました。
驚いたのは、今回登場したダンサーたちが、皆若いメンバーだったこと。
正直、ドミニクやナザレットら常連のベテランの姿が見えないのは寂しかったけど、若手もなかなかやりますよ。
特に、昨年日本でも「春の祭典」を好演した、パブロやクレメンティーヌといった新人が、すばらしい!
その若々しい色気には唸ってしまいました。
また新しいピナ・バウシュ世代の始まりの予感。

そして、公演の最後は、言うまでもなく、観客全員が何度もスタンディング・オーベーションを繰り返す盛り上がりでした。




プレミエが大成功に終わったあと、劇場ロビーにてお祝いのパーティが開かれ、関係者が一堂に集いました。
人々の渦の中央には、勿論ピナ。
そこでもここでも、人々が食べたり飲んだり談笑したり、キスをしたり。
なんという和やかで、温かくて、楽しくて、幸せな時間でしょう。


マリオンと。
フェルナンドと。
ダフニスと。
ピナ、ロナルドと。
ウルス、バルバラと。
事情があって、ウルスに再会したのは久しぶり。
またこのふたりと共に過ごせたのは、
とびきり嬉しい出来事でした。
ピナと!


深夜まで、笑い声は絶えることがありませんでした。
いつのまにか、楽団の奏でる音楽に乗って、そこかしこで人々が踊り始めました。
まだ舞台が続いているのかしら、と錯覚するほど、美しい情景でした。




2007年7月17日  

楠田 枝里子