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エヴァンさんの、クリスマスケーキ


ショコラ界のスーパースター、ジャン゠ポール・エヴァンさんの新作発表会に、今年もウキウキしながら出かけてきました。
白金の庭園美術館のなかのレストラン・スペースで、窓の外一面に広がる豊かな緑と光に包まれて、新しいクリエーションを楽しむ・・・なんと贅沢な時間だったでしょう!
毎年期待のコレクションですが、今回はさらに傑作揃いのクリエーションに、一同興奮、感嘆するばかりでした。
テーマは、世界を巡る旅「ボヤージュ・ボヤージュ」。
エヴァンさんのイメージは、京都や、ヴェネツィアや、宇宙にまで飛んでいきます。
クリスマスケーキも、バレンタイン・コレクションも、イースターのチョコのデザインも・・・芸術品!
ああ、どれも、この上なく美しく、大人の遊び心に溢れています。


参加者には、こんなテイスティングのお皿と、ショコラショーがサーブされました。


クリスマス・ケーキは、4種類。
わっ、今年の私のケーキは、どれにしようかしら、と迷うこと、迷うこと。


ビュッシュ・プティ・トラン
トンネルを抜けて走っていく機関車のケーキ。
エヴァンさんが小さい頃、クリスマス・プレゼントにもらった
機関車のおもちゃをイメージしています。
この機関車が、旅人を知らない街へと連れていってくれるのでしょう。
栗やヘーゼルナッツの味わいに、ティムットペッパーのアクセントが効いた逸品。
ビュッシュ・キョウト
エヴァンさんの愛する京都をイメージしたケーキ。
上品な抹茶のムース、マロンクリーム、エクアドル産カカオのムースが、
優雅な味わいを生み出しています。
ビュッシュ・ヴェネツィア
水の都ヴェネツィアを描いたケーキ。
全面に波の模様が流れるなかに、揺れるゴンドラと、漕ぎ手のゴンドリエッレの姿。
かなたには、リアルト橋が見えます。
口に含むと、洗練されたティラミスの味わいに、感激!
ガトー・ドゥ・ヴォワヤージュ・シデラル
流れ星にロケット、土星・・・エヴァンさんの旅は、宇宙にまで広がっていきます。
なんと夢のあるデザインでしょう。
ヴェネズエラ産カカオのムースを中心とした、本格的なチョコレート・ケーキです。


さんざん悩んだ末に、今回私が選んだのは・・・そう、ヴェネツィアでした!
ご承知の通り、私は毎年旅しないではいられない、ヴェネツィア・ファン。
音楽を奏でるような水面の美しさ、ゴンドラの舳先の飾り、ゴンドリエッレの横顔の鼻のラインまで細かく表現された造形・・・ヴェネツィアでの心躍る日々がたちまち甦ります。
テイスティングをさせていただいて、驚嘆しました。
コーヒーの味わいのあるコロンビア産カカオを使ったムース、マスカルポーネのムースが層をなしていて、そうです、エレガントなエヴァン風ティラミスなんですね!
(実は、ティラミスは、ヴェネツィアのすぐ近くのトレヴィーソという街で生まれたもの。
私も、ヴェネツィア滞在中は、毎日のように本場のティラミスを楽しんでいるのです。)
というわけで、私は早くもビュッシュ・ヴェネツィアを注文しました。
今年のクリスマスは、このケーキで旅の思い出に浸ることにしましょう!

イースターのコレクションも、飛びっきりステキで、愉快でしたよ。




私は特に、ジッパーの付いた卵の形のスーツケースが気に入りましたね。
なんて、かわいいの!
なんて、おしゃれなの!
で、これも早々と、予約注文してしまいましたよ(気が早い・・・笑)!

発表会には、特別ゲストとして、アーティスティック・ディレクターのジャン・オッドさんが紹介されました。
エヴァンさんとは、もう15年も一緒に仕事をしているそうで、このふたりの天才の組み合わせが、芸術ともいうべき珠玉の作品群を生み出しているのですね!


エヴァンさんと、ジャン・オッドさん。
私も加わって、1枚。


エヴァンさんの人生で、忘れがたい旅は、どんなものだったのでしょうか。
質問をぶつけてみましたら、こんな返事が返ってきました。
「もう25年も前になるかなあ。
初めて旅したカカオ農園が、マダガスカルだったんだ。
カカオの実を手に取り、ああ、ここから果てしなくイメージが広がっていくと、感激したことを覚えているね」
ちなみに、そのときエヴァンさんは、有名なベローシファカもバオバブも(共にマダガスカルの固有種)見ず、ひたすらカカオを訪ねて回っていたそうで、私は笑ってしまいました。
エヴァンさんらしい!
やっぱり、彼にとって、カカオが一番の思い出なんですね!!


2018年11月12日  

楠田 枝里子