柱時計に置き時計、目覚まし時計の消しゴムが、時を刻んでいる。
目覚ましには、裏に鈴が仕込んであって、チリチリと音を立てる。
実は、消しゴムといっても、今や材料として使われているのは、ゴムばかりではない。
天然ゴムに白サブスティテュート(塩化イオウと植物油の混合物)、それに鉱物油やチタンや炭酸カルシウムなどを配合し、時間をかけて十分練りこんで、消しゴムができあがる。
最近では、ゴムでなく、塩化ビニル樹脂を主成分とした、プラスティック製のものが、大変多くなっている。
正しくは「プラスティック消し」とでも呼ばなければならぬところだが、どうもそれではしっくりこない。
「字消し」と表示するメーカーもあるようだが、字だけではなく、絵も線も消すのだから、この呼び名も妙案ではない。
「消しゴム」と呼んだときの、あの素朴で懐かしい雰囲気は、どうにも言い換えようがないのだ。
本サイトのなかでも、全て「消しゴム」という言い方で統一している。
含有物がいかに変わろうと、消しゴムは消しゴムだ。
200年にもわたる歴史のなかで、世界中の幼い思い出をいっぱいに刻んで、私たちの心に生き続ける。
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