ここまでやって、問題にならないのかしら?
他人事ながら心配になってしまう消しゴムがある。
まずはマヨネーズ。
赤いキャップをかぶせた、おなじみの卵色の本体は勿論のこと、透明の袋にプリントされたキューピーちゃんのマークも、栄養成分表も、品質を保つための注意書き、メーカー名、バーコードのナンバーにいたるまで、本物そっくりである。
ケチャップも同じく、特有のトマトのマークや、製造者名、本社の住所、おいしく食べるヒント等など、一分の隙もない。
当然「消しゴム」の表示も、ありはしない。
違っているのは、ただひとつ大きさだけで、本物をそのまま何十分の一かに縮小しただけの商品である(私は虫眼鏡を使って、点にしか見えない文字を読んだのであった)。
これほどまでに、隅から隅までコピーする例は珍しい。
どこかに「消しゴム」と明記されていなければクレームをつけられるし、無断で登録商標を使用すれば、法律違反にもなるからだ。
「カゴメ」を「カモメ」と変えておくくらいのイクスキューズを、どんな消しゴムでも用意しているはずなのだ。
しかし、このマヨネーズとケチャップは、少しも構っちゃいないようだ。
そこには危険な魅力すら感じられる。
おそらく、キューピーもカゴメも、そんなちっぽけなことに目くじらなど立てず、むしろ、
「いやあ、これは面白い」
と楽しんでくれる、シャレの分かる大人の企業だと、製作者はちゃんと知っているのだろう。
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