蛇口の栓をひねって、水を出す。
もっと、もっとと、ねじり続けたら、あらら、すっぽーんと栓が外れてしまった。
なにもここまでやる必要はないはずだ。
隠れたねじの内側まできっちり作りあげたって、表からは見えはしない。
商品として店頭にあるときには、ひとかたまりの消しゴムにすぎないのだから。
それどころか、買った人が、気まぐれに栓を回してみなければ、最後まで気付かれることもないだろう。
それでもなお、手を掛けてしまうのは、日本人ゆえの職人芸であろうか。
どこかシュールな印象を受けてしまうのも、奇妙に気持ちをそそられるものである。
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