ほほう、消しゴム世界には、どうやら子供の好きなものばかりが登場するわけでもないらしい。
だって、注射器も、薬も、子供は大っ嫌いだ。
(私は大人になった今でも嫌いだ。)
具合の悪いときに体温を計るのだって、わずらわしい。
ところが、ところが。
そんな医療品の数々が、ここに消しゴムとなって現れているのである。
目薬に塗り薬、ばんそうこうや包帯もあって、どれもかわいらしい作りになっている。
「小児用バカリン」(このネーミングがいい!)のセットには、注射器とカプセルの消しゴム、体温計の鉛筆、診断書のメモが入っている。
使用方法には、以下のように記されている。
「思春期の微熱、恋の悩みなどに効果的です。」
なぁるほど、早熟な小学生にとっては、注射の恐さより、消しゴムで消してしまいたいほどの心の傷みのほうが、よっぽど深刻なのだろう。
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