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フランス


ほとんど毎年パリには出かけているし、当然消しゴムもたくさん買った。
フランス語がからきしダメな私だが、
「ゴム・ア・エファス」(消しゴム)という単語だけは知っている。

このページにも、もっとにぎやかにフランス製の消しゴムがならぶはずだった。

ところが、今回すべての消しゴムをチェックしていて、困ってしまった。
確かにフランスで見つけたものなのに、Made in JapanあるいはTaiwanの製品が、多数を占めていたのだ。
輸出用に作られたものだから、日本製といっても、もちろん日本語の表示はないし、日本ではお目にかかれない品々だ。
異国の地でなかなかガンバっているじゃない、と感心しながら買い求めたものであった。
中国での経験と、同様である。

消しゴムの国際化は、思っていたより、はるかに進んでおり、国名の特定が難しいケースが多々ある。

Made in Franceなどと明記されていれば、問題なくフランスの消しゴムとわかるのだが、パッケージにも入らないような小さな商品には、そんな記述など見あたらぬことが多く、私の長年の経験とカンで判断するしかなかったりする(間違いがあったらゴメンナサイ)。

それでは、アメリカの会社が、台湾の消しゴム工場に発注したものは、どこ製になるのか。
日本の会社の製品でも、子会社が他の国にあって、そこで作られたものは、どう扱うか‥‥。
頭の痛い問題が次々に現れる。

最終的には、オリジナリティ、あるいは主体性をどこが持っているかで、分類せざるをえないと判断した。
上記の例で言えば、アメリカの会社がアイデアを出し、製品作りのみを台湾の工場に頼んだ場合は、アメリカの消しゴムと理解してよい。
しかし、台湾の会社がアイデアも含め全て担当したケースは、アメリカで売られていても、台湾の消しゴムと言っていいのではないか‥‥。

さてさて、フランスの消しゴムに、話題を戻そう。

トリコロールのエッフェル塔は、いかにも花の都のお土産である。




フランス古典劇の殿堂コメディ・フランセーズでは、味のある消しゴムが見つかった。
ヴィクトル・ユゴーやヴォルテール、モリエール、ラシーヌらの肖像画付きだ。
わざと黄ばんだ表面にしているのは、時代のついた雰囲気をだそうとでもしているのか。




そして特筆すべきは、なんといっても、サンジェルマン・デ・プレの文具店で手に入れた、川原の石のような一品だろう。


こんな何でもないただの石の塊でさえ、角のまろやかなライン、手におさまったときの優しい感触など、洗練されている。
さすがにフランス、ふつうの消しゴムにまでおしゃれ、と感心することしきりであった。