撮影を前にし、このレーズンバターの消しゴムの中身がどうなっているのかを巡って、大論争となった。
まず、箱のなかに、どんな格好で消しゴムが入っているのか。
「ただ棒状の消しゴムが入っているだけなんじゃないの」
「いや、きっと、本物と同じように、金色の紙に巻いてあると思うな」
「そうかなー」
編集の大場さんが首を傾げる。
恐る恐る糊をはがし、中身を取り出すと、みごと金色の包みが出てきた。
すばらしい。
「不要冷蔵」と念を押してある。
「じゃ、このなかは? どうなっていると思う?」
「うーん、いちおうクリーム色の棒になってるかな」
「レーズン・バターなんだから、レーズンも付いているでしょう」
「そうだ! 金太郎飴式に作ってあって、茶色い丸がひとつ中央に付いているんじゃない?」
と、デザイナーの古平さんがひらめく。
カメラマンの永田さんは、さらに強気の発言である。
「いいや、ひとつってことはないでしょう。小岩井ですよ、小岩井。レーズン3つ4つは、きっとあるね」
「えー、そんな面倒なこと、するかなあ」
作業をしていた4人はわいわいと盛り上がり、そのうち賭けが始まってしまった。
ただのクリーム色の棒か、レーズン1個付いているか、レーズン3個以上か――。
震える手で、包みを開いてみると……結果は、下にごらんの通り。
大小のレーズン7個には、一同大拍手を送ったのだった。
さすが小岩井のレーズンバター。
恐れ入りました。
(負けた私は、皆にケーキをご馳走させられました)
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