どの国を旅しても、私は文具店を訪ね歩く。
もちろん、その地ならではの消しゴムを見つけるためだ。
「消しゴムなんて、どこも同じでしょ」
と、ブツクサつぶやいたあなた、それじゃ、このページをとくとごらんあれ。
ケネディ大統領の横顔が浮かび上がった、半ドル硬貨。
ミッキー・マウスの頭が踊る、ディズニーワールドの鉛筆、消しゴム付き。
黄色いナンバープレートは、テキサスのものだ。
宇宙開発先進国らしく、宇宙を飛ぶロケット、宇宙船、スカイバスターズが、駆けめぐる。
動物たちの表情も、チーズもフライドポテトも、日本のそれとは、一味違う。
どれも、まさに、
「これぞ、アメリカ」
と感じさせる、逸品ぞろいではないか。
子供がごく日常的に使う、安価で小さな文房具。
だからこそ、知らず知らずのうちに、その国らしさがあらわれてしまうのである。
かくして私は、消しゴムを求め、世界を回ることになってしまったのだった。
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