** Eriko Kusuta's World ** 楠田枝里子公式ホームページ **
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製作者は、このアイデアをひねりだしたとき、嬉しくって嬉しくって、小躍りしてしまっただろう。

5つの丼を、開けていく。

「おい丼」のなかには、犬を連れた西郷隆盛の像が、マンガチックに形成されている。

「丼キホーテ」の丼には、もちろん鎧かぶとに身を包んだドン・キホーテ。

「ポセイ丼」では、ギリシャ新和に登場する海の神さまポセイドンが、左手に魚、右手に一振りすれば大波がわきおこるという三叉(みつまた)の鉾(ほこ)を握りしめている。


もう、おわかりだろう。
なんの脈絡も関係もないのだが、「丼」をキーワードに、ダジャレでシリーズになっているのだ。

「キツネう丼」まで出てきた。
なかには、あぶらあげではなく、なぜか鳥をかかえたキツネの姿が。

「ヨーイ丼」からは、日の丸を胸に付け、歯を食いしばって走るランナーが飛びだした。
おや、手に聖火まで掲げている。


ちょっと気になるのは、どれもシールに「非売品」と記されていることだ。
なにかの記念に作られたものなのか。
いや、それにしても、普通こんな冗談の消しゴムを、記念の品として選ぶだろうか。
あくまで丼にこだわっているのだから、それは全日本丼普及協会とか食堂振興会とか?
(そんな団体、あるか?)

ひょっとすると、ここに集まった5点の他にも、丼シリーズはまだまだ続いているのかもしれない。
た丼、カレーう丼、イグアノ丼‥‥。

こんなことを考えながら、ふと丼の裏側を引っくり返して、発見した。
ごく小さく「三菱鉛筆」と刻まれている。
さっそく問い合わせをしてみると、それは「どんどん消しゴム」といって、1989年シャープペンシルの替え芯に付けられたプレミアム・グッズだったのである。

そうか、それでわかった。丼の意味は、鉛筆も消しゴムもどんどん使ってほしい、ということだったのか。