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Copyrights



マフィン、虹の橋へと
楠田枝里子  


2020年8月11日朝6時30分、マフィンは、虹の橋へと旅立ちました。
18歳と4ヵ月。
人間ならば90歳になるほどの、大往生です。
いつものようにベッドの上で私にもたれたまま、3回大きく息をすると、眠るように亡くなりました。
驚くことに、そのほんの少し前、マフィンは、もう動かなかったはずの前足を、私に向かって差し出して「もみもみ」をしてくれました。
(これは、子猫がお母さんのおっぱいを吸うとき見せる仕草です。)
赤ちゃんの頃から16歳を過ぎるまで、毎朝、私の左の二の腕で「もみもみ」をしていた甘えん坊でしたから、マフィンはありったけの力を振り絞り、もう一度、私を喜ばせようとしたのでしょう。
ふたりの甘い幸せな時間に包まれながら、別れを告げていたのでしょう。
マフィンから私への、最後のプレゼントでした。
どこまでも優しく、愛らしく、美しく、賢く、親孝行なコでした。
ありがとう、ありがとう、マフィン!!!
長い年月を、共に生きてくれました。
私にとって、あなたは、大きな生き甲斐でした。
マーちゃんと過ごした日々の思い出は、かけがえのない私の人生の宝物です。




人間とともに暮らした猫や犬たちは、命を終えると、虹の橋のたもとに向かうと、言われています。
そこは、動物たちのパラダイス。
もう痛い思いをすることも、苦しむこともありません。
広々とした緑の草原には、明るい陽が降り注ぎ、暑くも寒くもなく、快適。
美味しいご飯を好きなだけ食べて、みな飛び跳ねているのです。
やがてある日、そこに飼い主さんがやってきます。
ふたりは再会を喜び、一緒に虹の橋を渡って、天国へ行くのです。
マフィンもきっと、そこで私を待っていてくれるでしょう。
マフィン、あらしおじさんに、いろいろ教えてもらえて良かったね。
ルディちゃんにも会って、カステラやシュークリームのお話した?
仲良し兄妹のHYUちゃん、ナスカちゃんとは、大喜びでたくさんおしゃべりできたでしょ?
ゴンちゃんはにこにこしながら、「はじめまして」と声をかけてくれた?
きなこちゃんは、食いしん坊マフィンがやってきた、って笑ってるかも。
一足先に出かけていった、甥っ子のチャビくん、かわいがってあげてね。
お兄ちゃんのレオン君は、弟があまりにソックリなので、びっくりしてるんじゃないかな?
マフィン!
今はみんなと、賑やかな毎日を過ごしていることでしょう。
ママも、きっとそこに行くから、待っててね。
またたくさん遊んで(モミモミもしてほしいな)、一緒に、虹の橋を渡ろうね。
楽しみにしてるね。
じゃあね、マフィン、またね!!



2020年8月20日



これから、この「マフィン」のセクションをどうしようかと考えましたが、まだまだお伝えしたいエピソードがたくさんあり、もう少し続けさせていただこうと思います。
マフィンも、虹の橋からメッセージを届けてくれるでしょう。
緊急入院した8月2日からの10日あまりの「日記」を、以下に改めてアップしますので、マフィンのようすを振り返っていただけたら、嬉しいです。
たくさんのお友だちから、温かな励ましのメッセージや、心のこもったお花をお贈りいただきましたこと、幾重にもお礼申し上げます。



8月2日

今夕、愛猫マフィンが入院しました。
昨日から何も食べられず、今日には、頼みの綱のキドナ(猫用の粉末栄養食品。粉ミルクみたいな感じですね)さえ吐いてしまったため、急遽、動物病院に駆け込んだのです。
エコーと血液検査の結果、マフィンの容態はかなり悪いとのことで、そのまま入院となってしまいました。
帰宅して、出しっぱなしだったマフィンのご飯や、お水やトイレを片付けながら、泣きました。



8月4日

動物病院の先生の許可をいただいて、面会に行きました。
マフィンは、点滴の管を付けたまま、診察室に連れてこられ、診察台にへたりこむように、うずくまりました。
よほど具合が悪いのでしょう。
せいいっぱい声をかけ、なでてあげましたが、いつものような反応は返ってきません。
途中で一度、私の椅子の上に置いた紙袋に入ろうという仕草を見せましたが、それはきっと、彼にはキャリーバッグに見えていて、
「ボク、その中に入るから、もうおうちに帰ろうよ」
と言っていたのだと思います。
30分ほど一緒にいて、あまり疲れさせるのも良くないと、退室することにしました。
いつもマフィンと使っていたクッションマットと、またたび入りのオモチャを看護士さんに託しました。
最後にマフィンを抱きしめ、
「またすぐ来るからね、元気でいてね、頑張ってね!
今度は一緒におうちに帰ろうね」
と声をかけると、マフィンは力を振り絞って、立ち上がり、前足を私に向かって差し出して、バタバタさせました。
「ママ、行かないで、行かないで!
ボクも連れていって!!」
と叫んでいるようでした。
私はたまらなくなって、もう一度マフィンを抱きしめ、動物病院の出口で涙を拭きました。



8月7日

昨日、夕方に、動物病院に向かいました。
日曜に緊急入院したマフィンの精密検査の結果が出たのです。
残念ながら・・・良い知らせではありませんでした。
ぎりぎり持ちこたえていた腎臓は、すでにステージ4、腎不全になってしまっていました。
慢性膵炎も進行し、心臓もダメージを受けています。
私は火曜日のマフィンの姿が目に焼き付いて離れなくて、どうしてもマフィンをうちに連れて帰りたいと思っていました。
毎日8時間の点滴に通うことにして、許可をいただきました。
悲しいことに、マフィンは後ろ足腰がもううまく動かない状態になっていて、よろけながら、ようやく歩いていました。
それでも、家に着き、キャリーバッグから出て、真っ先に向かったのは、トイレでした。
「えらいね〜。よくガマンしてたね」
私が介添えをしてあげて用を足すと、マフィンは、次は迷うことなく、私のベッドへ。
勿論、もうベッドに飛びあがる力はありません。
前足だけで、一生懸命ベッドカバーに飛びつきます。
私があわててお尻を持ち上げてあげると、マフィンは満足そうに横になり、大きな声で私を呼んだのです。
私はマフィンに添い寝して、長い長い時間、全身をなでてあげました。
マフィンはお薬も、お水も、キドナも飲んでくれました。
ウェットフードも、ちょっぴりですが、口にしてくれました。
結局、私自身は夕食も取れず、ほとんど一睡もできませんでした。
何か異変が起きたら大変だと、一晩中明かりを消すこともできず、ベッドから落ちたり、どこかで倒れて怪我をするのではないかと、気が気ではありません。
ずっとマフィンに寄り添っていました。
マフィンは私の腕枕で眠り、明け方には足を枕にしていました。
今朝9時に、点滴を受けるため、マフィンを動物病院に連れていきました。
夕方6時に迎えに行きますので、ちょっと仮眠がとれますね。
これから付きっきりの介護生活になりますが、今私は何でもできる気持ちでいます。
すぐそばにいて心を通わせることのできる喜びは、何物にも代えがたい幸せですから。



8月8日

実は、退院2日目の夜、マフィンの容態が悪化しました。
後ろ足に加えて、前足まで力が入らなくなり、立ち上がることができません。
かろうじて、床を這って少し体を動かすていどで、あとはぐったりと横になっていました。
前日あんなに嬉しそうに私に話しかけていたコが、全く声を発しません。
私は一晩中、マフィンの背中をさすり、手を握り、いつも必ずどこかに触れているようにして、励ましていました。
夜が明け、私は動物病院へと急ぎました。
嬉しいことに、夕方、点滴と処置を受けて戻ってきたマフィンは、目に光が戻り、よろよろではありますが、また立ち上がって歩けるようになっていて、私は胸を撫でおろしました。

伊勢に生まれ育った私は、伊勢の神様のお札を飾った、ささやかな神棚を持っています。
毎日、お供えをして(昨日はメロン、今日はマフィンの好物のシュークリーム、ちょっと変ですか?)、神様に祈っています。
「どうか、マフィンと私に、もう少し時間をください。」



8月10日

マフィンの容態は、日に日に悪化しているように見えます。
今夕、点滴を終えたマフィンを動物病院に迎えにいくと、主治医の先生が、
「状態は、かなり悪いです。」
と声を落とされました。
「でも、そうとう苦しいはずなのに、お顔は凛として、きれいですね。
毛艶もよくて・・・。
立派です。」
とも。

マフィンは、本当にいいコです。
思うように動けず、さぞ辛い思いをしているでしょうに、わがままも言わず、私を困らせることもありません。
不自由な体で、それでも、這ってでもトイレに行って、自分で用を足そうとします。
「お口を開けて、はい、ゴックンして」
と言うと、嫌がらずに従い、お薬も、キドナも飲んでくれています。
そうすれば私が喜ぶことを、マフィンは知っているからですね。
もう、お気に入りのチェストの上のねむねむまで行くことはできません。
ボックスタワーに上ることも、できません。
せめて、前と同じようにベッドの上で、私にくっついて甘えん坊し、体を伸ばして、くつろいでほしいと、私はずっと付き添っています。
退院した日は、以前のように動くことのできない困惑や腹立たしさを、マフィンの表情や鳴き声に感じましたが、今は、そんな自分となんとか折り合いを付けようとしているように、見受けられます。
健気なコです。
このコと、18年という長い年月を共にしてきたことを、私は誇りに思っています。



8月11日

2020年8月11日6時30分、今朝、マフィンは静かに息を引き取りました。
ひと晩中、私はマフィンの体を支え、なでなでし、声をかけていました。
いつもと同じように、ベッドで私にもたれて、3回大きく息をすると、マフィンは眠るように亡くなりました。
その少し前、もう全く動かなかったはずの前足で、マフィンは私に向かって、「もみもみ」をしてくれました。
ママと過ごした甘い時間を、最後に思い出してくれていたとしたら、私も幸せです。
甘えん坊で、16歳まで毎朝チュパチュパもみもみをしていたコでしたから、あれは彼らしい、私への最後のプレゼントだったようにも、感じます。
私を「もみもみ」で喜ばせてあげてから旅立とう、とマフィンは思ったでしょうか?
あるいは、
「ママ、ほら、ボクのこと、忘れないでね」
と言っていたのでしょうか?
大きく見開いた目は、まるで小さな子供のころに戻ったかのように、かわいかった。
毛もつやつやで、今にも起き上がって「ママ〜」と私に抱きついてきそうです。
美しく、愛らしく、賢く、誇り高きソマリの最期でした。
ありがとう、マフィン!
18年もの長い間、私と一緒に生きてくれて。
マーちゃんとの時間は、かけがえのない私の人生の宝物です。



8月12日

今朝、私が目を覚まして、すぐマフィンの元に行き、
「おはよう、マフィン!」
と声をかけていると、ベッド脇の目覚ましが、設定した時刻に、小さな音で、カタ、カタ、カ、と止まってしまいました。
それは電池切れだったのですが・・・。
マフィンを病院に連れていくため、毎朝早起きをしなければならなかった私に、
「ママ、ボクのために、もうそんなに早く起きなくていいんだよ。
ゆっくり寝ててよ」
とマフィンが気づかってくれたようで、胸が締め付けられる思いでした。
私はマフィンを抱きしめて、激しく泣きました。



8月13日

あらし君のパパとママから、画像付きのメールをいただきました。
秩父の森の中にいて、不思議な経験をしたそうです。
見たこともない美しい蝶が2羽、ふたりの回りをひらひらと飛んで離れなかったというのです。
深い緑のなかに、一瞬鮮やかな小さな虹が浮かび上がるのが、動画でもはっきりと認められました。
「きっと、あらしが、マフィンちゃんを連れて、会いにきたのね」
と、りかちゃん。
「マフィンちゃんは、ボクの甥っ子だもの。
道に迷わないように、迎えにきたんだ。
これから一緒に、虹の橋へ行くよ」
と、あらし君は知らせに来たのでしょうか・・・。
(あらし君については、このサイトの「マフィン」のセクションの「あらし君に、拍手」というページをご覧ください。)
この間、あらし君ママのりかちゃんから、たくさんの励ましとアドバイスをいただいてきました。
受け入れがたい事態に動転しながらも、私がどうにかこうにか対処してこられたのは、みんな、りかちゃんのおかげです。
何度お礼を言っても、足りません。
あらし君、ありがとう、マフィンを宜しくね!
今日、りかちゃんとマッキーさん(あらし君パパ)から、きれいなお花も届きました。
明日は、火葬場へ出かけていったマフィンが、お骨となって、うちに帰ってきます。
私は、りかちゃんからマフィンのお誕生日にプレゼントしてもらった、大きくてオシャレなフォトフレームに、思い出の写真を9枚選りすぐり、セッティングしました。
食いしん坊だったマフィンが喜ぶご馳走も、用意しましょう。
マフィンのいない部屋の寂しさは、これまで体験したことのないもの。
ふとした瞬間に、嵐のように悲しみが襲ってきます。



8月14日

3日間を、泣いて暮らしました。
300回も、400回も、マフィンの名前を呼びました。
マフィンは、いつもそこから部屋中や、窓の外の緑を眺めて楽しんでいたチェストの上の、ひまわり柄のねむねむで眠っていました。
もう15年も愛用している、夏の季節の、お気に入りの黄色いねむねむです。
朝起きると、私はまず真っ先にマフィンに声をかけました。
「おはよう、マフィン!」
そう言いながら、マフィンを抱きしめます。
すぐそばに、シュークリームを置いてあげました。
マフィンが生前よく食べていた好物のひとつで、水と栄養剤以外、もう何も食べられなくなったマフィンが、うちで最後に口にしたのが、シュークリームだったから。
私は時々、ねむねむに乗せたまま、マフィンをベッドに運んで、添い寝しました。
そばを離れるときには、必ず呼びかけました。
「ママ、トイレに行ってくるよ」
「ちょっと新聞を取ってくるね」
「すぐ、戻ってくるよ、待っててね」
何度も何度も、マフィンをなで、抱きしめ、その姿を目に焼きつけて、1日を過ごしました。

マフィンの小さな棺に入れたものは・・・。
18年前、私が初めて買ってあげた、赤い首輪。
お裁縫の苦手な私が、四苦八苦しながら縫った、マフィンのための青白のボーダー・シャツ。
最高に似合っていた、青のマフラー。
マフィンと私の記念のツーショット写真。
マフィンのポストカードのなかからも、10枚を抜粋しました。
勿論、シュークリームも忘れません。
本当はねむねむに寝かせてあげたままにしたかったのですが、クッションは棺に入れられないというので、生花のひまわりを用意しました。
さらに、私が大切にしているピナ・バウシュのステージの赤い薔薇を、マフィンにプレゼントして、飾りました。
遺影には、クリスマスのサンタさんの格好をした、私の一番の気に入りの写真・・・。
家を出ていく前に、マフィンから、ほんの少しの毛と、白い立派なヒゲを1本、もらいました。

そして今日、夕方、火葬場から帰ってきたマフィンは、白い小さな骨壺に入っていました。
「お顔もきれいに残っていますよ。
こちらを向いて、座っています」
と霊園の方が、マフィンを私に抱かせてくれました。
「マーちゃん、おかえり!」
私はマフィンのテーブルに、18年間お世話になった赤坂動物病院と、りかちゃんから贈っていただいたお花を飾り、朝から買ってきてあった、マフィンの大好物の烏骨鶏のカステラとウェストのシュークリーム(クリームパフ)を、一緒に食べました。
「おいしいね〜、マーちゃん」
思い出話は尽きることがなく、またしみじみと涙しました。





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