クリスマスの奇跡
楠田枝里子
今年も、クリスマス・シーズンが近づいてきました。
去年、このページに書いた、クリスマスツリーの話を、覚えていらっしゃいますか?
マフィンが亡くなった一昨年の12月、私がマフィンへのプレゼントに用意したのが、猫の大好きな箱とリボンいっぱいの、ツリーでした。
そして、思いがけず、マフィンから受け取ったクリスマス・プレゼントは、こんなツリーでした。
星降る夜、ツリーの下で眠っている猫は、前足を組んで、幸せそうにほほえんでいます。
それはそっくり、マフィンの姿でした。
不思議な流れで、マフィンに導かれるように、私はこのツリー(ロイヤルコペンハーゲン2011年)を、オークションサイトで入手したのでした。
実はその時、画面のすぐ右上に、私はもうひとつ、ちょっと珍しいツリーを見つけていました。
白がとろけたような、この形は、ホワイト・クリスマスでしょうか。
高さが8センチほどと、とても小さなフィギュリンです。
ロイヤルコペンハーゲンのものと記されていましたが、何年に作られたのか刻印もなく不明、お箱も付いていないとのことでした。
それなのに、通常のツリーの3倍ものお値段です。
出品者は男性であるという他、何の情報も明らかにされていません。
なんだか怪しいなあ、すごく高いし、ニセモノかもと、すぐにはアクセスしませんでした。
しかし、どうしても心惹かれてしまったのは・・・そのツリーが、猫のツリーと同様に、たった2日間限定で出品されたものだったからです。
2つのツリーは同時に、私の前に姿を現わしたのです。
「ねえ、これも買っといてよ」
とマフィンが言っているような気がしました。
半日後、私はやっぱりこのツリーも、落札したのでした。
手元に届いたとき、猫のツリーに夢中だった私は、このツリーを箱から出しませんでした。
なぜか、来年飾ればいいや、と思ったのです。
クリスマスはもう目の前で、どうせすぐ仕舞うことになるのだから、と。
そして、1年が過ぎました。
クリスマス・イブ、白い小さなツリーは誇らしげに、猫の眠っているツリーの隣り、マフィンの前に飾られていました。
その年一番の寒気が日本列島を襲い、北国に降りしきる雪の景色が、テレビ画面に映し出されています。
カーテンを開けてみると、東京の空気も凍てついて、空から今にも白いものが舞ってきそう。
マフィンは、おそらく、この情景を予言していたのではないでしょうか。
思い出しました。
雪が降ってくると、
「空から白い虫がたくさん飛んできた」
と、マフィンが大喜びだったことを。
「ウ〜、ウニャ〜」
と声を上げながら、窓ガラスに向かって、飛び跳ねていたことを。
それを見て、私は、
「ほら、ほら、マーちゃん、虫さん、つかまえてよ〜」
と、そばで笑い転げていたことを。
その愉快な記憶こそ、マフィンからのプレゼントだったのです!!
1年をかけてマフィンが手配した、私へのクリスマス・プレゼントだったのです!!
さあ、そうして、また1年が過ぎました。
今年のクリスマスに、マフィンは、どんなサプライズを用意してくれているのでしょう。
私は、箱とリボンがいっぱいのクリスマスツリーと、猫の眠っているクリスマスツリー、そして白いホワイト・クリスマスのツリーを、3つ並べて、その日を待っています。
2022年11月
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