マフィンとママへの、バースデープレゼント
楠田枝里子
ガラス張りの白いガーデンハウス。
藤棚から、こぼれるほどの花たちが、天井を飾っています。
正面奥に、青いキャビネット。
2階へ上がる階段と、その先に少うしだけ開いたドアが、私たちを誘っています。
開閉できる窓際には、観葉植物のプランター。
庭の作業に必要な、スコップや、赤い長靴・・・。
なんと、これ、全てのパーツが数センチというミニチュアで、ハウス自体、高さ24センチ、幅11センチしかないの。
とびちゃんママの志乃さんが、今年1月の私の誕生日に、贈ってくださったものでした。
あまりに見事な細工に、もうタメ息しか出てきません。
なにより!
中央に、ロッキングチェアが揺れていて、そこに、猫のソマリがくつろいでいるのを見つけたとき、私は心臓が止まってしまうかと思いました。
気に入りのお魚の爪とぎが、すぐそばに!
足元のジョウロには、ひまわりの花。
なんということでしょう!
これは・・・マフィンちゃんではありませんか!!
たった4センチの、小さなマフィン。
マフィンの見つめる先には、ピンクのチューリップと、青い紙箱が置かれています。
蓋を開けてみると、中に入っていたのは、私の大好物の、オペラ!!
チョコレートケーキでした!
オペラの大きさは、8ミリ。
2ミリほどのゴールドの飾りが、ちゃんと付けてありますよ。
マフィンの周囲にあったものを、取り出してみると・・・。
籠の中に入っていた本は、一冊一冊、手作りです。
表紙、帯、しおりまで付けられていますね。
「銀河鉄道の夜」「吾輩は猫である」・・・。
ロッキングチェアに置かれたクッションをよくよく見て、またもや、あっと声を上げました。
ひまわりの柄!!
マフィンの愛した、ひまわりねむねむです!!
一方、ガーデンハウスの右サイドには、分厚い本や、背の高いランプが、目に入ります。
実は、このランプ、夜になれば、明かりを点けることもできるのですよ!
こんなステキなことが、あるでしょうか!
ロッキングチェアでのんびりと、マフィンを膝に抱き、この照明で読書を楽しむ私の夢の空間が、ここに出現していたのです。
信じられないほど深く細やかな愛情と、驚くべき達人の技の持ち主、志乃さんが、この傑出した作品世界を描き出してくれたのですね。
そして、驚くことに、その夢は、まだまだ終わりではありませんでした。
先月のマフィンの誕生日に、志乃さんから、さらに、こんなプレゼントが届いたのです!!
フルーツがいっぱいに盛り付けられた、美味しそうな、バースデーケーキ!
生クリームがふわふわで、マフィンの名前の入ったプレートが飾られていて・・・。
これも、直径が2センチ3ミリの、ミニチュアです!!
文字の書かれたプレートは、1センチ弱。
ブルーベリーもチェリーも、2ミリしかないの。
加えて!
端午の節句の、折り紙の兜と、菖蒲の花。
竹かごに入ったちまきと、リボンのかかった赤い箱の柏餅も添えてくださいました。
3本のちまきは、長さ3.5センチ。
柏餅は、緑の葉っぱに包まれて、白いお餅と、5ミリほどのあんこもリアルに作られていて、全長1.5センチ!
私は、感激に胸を熱くしながら、ちっちゃなご馳走を、ガーデンハウスのミニチュアマフィンの前に、きれいに飾りました。
志乃さん、本当に、本当に、ありがとうございます!!!
マフィンと私、一緒に、美味しくいただきます。
あまりに幸せなガーデンハウスでのひとときに、私はもう、現実世界に帰ってくるのを忘れてしまうかもしれません。
2024年5月
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