とびちゃんに、会いに
楠田枝里子
ついに!
とびちゃんに、会ってきました!!
去年のマフィンからのクリスマス・プレゼント、覚えてくださっているでしょうか?
マフィンは、私に、とびちゃんの存在を知らせてくれたのでした。
コロナがようやく一旦落ち着いたところで、私は大喜びで大阪に飛んだのでした。
夢のような時間でした。
玄関の扉を開けると、とびちゃんは行儀よく座って、迎えてくれました。
とびママの志乃さんが、リビングへと案内してくれると、とびちゃんは目の前のテーブルに飛び上がり、まっすぐ私を見つめました。
まるで、
「マフィンちゃんから、話は聞いてるよ」
と言わんばかりに。
驚きました。
初対面にもかかわらず、とびちゃんは、少しも逃げずに、一緒に遊んでくれたし、抱っこもさせてくれたのです。
大感激!!!
私は、2ヵ月前から用意していたお土産を、どっさり抱えていきましたよ。
またたびポワソンや、キャロット、またたびパンや、たくさんの小さなネズミさんや・・・
トリコロールのポワソンで遊ぶ、とびちゃん、なんて可愛いのでしょう。
ああ、マフィンとあまりにも、そっくりそのまま!
実は、とびちゃんには、ピノコちゃんという、1歳年下の妹がいました。
ピノちゃんは、くりくりお目目の愛らしいお嬢ちゃんで、キャロットに夢中でしたよ。
ピノちゃんは、窓辺でくつろいだり、別のお部屋に行ったりしていましたが、とびちゃんは、ずっと私のそばにいて、相手をしてくれていました。
あるとき、ふと視線を感じて、振り向くと、戻ってきたピノちゃんが、廊下の端の角から、楽しそうに遊んでいる私たちを、羨ましそうに眺めているではありませんか。
「ピノちゃんったら、家政婦は見た!みたい〜」
と一堂大笑い。
お兄ちゃんを独り占めして、ごめんね、ピノちゃん。
とびちゃんとマフィンは、とてもよく似てるのですが、少し違うといえば、とびちゃんのほうが、落ち着きがあって、おとなしい、ということでしょうか。
おそらく、マフィンは一人っ子でヤンチャ放題、とびちゃんは、お兄ちゃんとしての分別の良さが、身に付いているのでしょうね。
こんなシーンも!
抱っこしているうち、あらら、とびちゃんが、私の左の二の腕に頭を突っ込み、潜り込んでしまったではありませんか。
とびちゃん、そこは、マフィンが毎朝モミモミしていたところだよ。
「あなたは、マーちゃんなの?!」
と、私は笑い泣きました。
そして、こんなステキな瞬間もありましたよ!
とびちゃんが、私に、鼻チュッキスをしてくれたのです。
「大好きだよ」
と言ってくれたのですよね。
もうすっかり仲よしで、私の手から、おやつも食べてくれました。
さて、私が抱えていったお土産のひとつに、ビームが出る猫の手の形をした玩具「にゃんだろう光線」が、ありました。
とびちゃんのために、ネットで膨大な量の猫グッズを検索していて、アマゾンでふと手が止まったものです。
思わずクリックしたところ、
「最後にこの商品を購入したのは、2014/12/6です。」
との表示が目に飛び込んできました。
なんと、9年前のクリスマスシーズン、私がマフィンに、買ってあげたものだったのです。
胸がいっぱいになりました。
もう、号泣、でした。
マフィンは、このオモチャが大好きで、いつもふたりで大騒ぎしていたのです。
きっと、
「とびちゃんにも、買ってってあげようよ」
と言っていたのでしょう。
とびちゃんが喜んで遊んでくれている様子を、マフィンと重ね、私はまた涙しました。
何度も泣いてしまって、そのたびに志乃さんが、慌ててティッシュを手渡してくれました。
志乃さんの優しいお誘いがなかったら、こんな幸せを味わうことはできなかったでしょう。
心から、感謝しています。
あっという間に時間が過ぎて、お別れの時がやってきました。
玄関へと向かうと、とびちゃんが、後を追ってきました。
そして、迎えに出てくれた同じ場所に座って、じっと私を見つめました。
「え、もう帰っちゃうの?」
と聞いている気がしました。
私は玄関の扉が閉められなくて、しばらくそこに立ったまま、とびちゃんと目を合わせ、声をかけました。
「ありがとね、とびちゃん。
また、会おうね」
それから、姿は見えないけれど、とびちゃんの隣でにっこり笑っているマフィンにも、心の中で呟きました。
「マーちゃん、ホントに、ありがとう」
また涙が、溢れました。
2023年12月
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